のぞきからくり演目

のぞきからくり「三角と四角」
三角と四角

のぞきからくり「三角と四角」巌谷小波
からからからくりのぞきからくり 
はじめはいかなる物語
 
 さてもオレは三角定規 立派な角が自慢だぞ
 オレほど角が多いものは この世に一人といないだろう
 そこへ筆がやってきて おまえは一番じゃないと言う
 それではだれが一番なのか 画板が一番角が多い
 
「なに、オレより角が多い画板なるものがおると?」
「嘘と思うなら、自分で確かめて見れば」
 
 さてもオレは三角定規 画板なるもの どんなヤツ
 よくよく見れば画板のヤツ オレより一角多いとは
 何と生意気 画板のヤツ どうしてくれよう いまいましい
 悔し紛れに 三角定規 悪い了簡起しました
 
 さてもオレは三角定規 はさみの所へ相談に
 一晩 体を貸してくだされ はさみに頭を下げました
 草木も眠る丑三つ時に はさみを小脇に抱えては
 すべてはうまく運ぶはず さあいざゆかん 画板のところへ
 
 抜き足差し足忍び足 おのれ画板め 今に見ろ
 高いびきの前後知らず 画板は眠りついていた
 しめた 今夜はおまえの角を 全部切り落としてくれる
 まずは一角ちょきりと落として ちょきりちょきりとまた一角
 
 さてもオレは三角定規 今日からまた一番だ
 ところが 今朝も評判高く 画板の周りは賑やかで
 みんなちやほや褒めたてる 見れば画板のその姿
 角は一夜で二倍になり 四角い画板は八角に
 
  「明日になれば、十角二十角になるやもしれん。
  これではかなわぬ。参り申した」

手毬歌
手毬歌

手毬歌 いちばんはじめ

 いちばんはじめは 一の宮
 二また日光東照宮
 三また讃岐の金毘羅さん
 四また信濃の善光寺

 五つ出雲の大社
 六つ村々鎮守様
 七つ成田の不動様
 八つ八幡の八幡宮

 九つ高野の弘法様
 十で東京本願寺
 妹ほしさに願掛けた